イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
「要するに、人を寄せ付けない性格でも君は綺麗でもてるんだ」

結論づけられても、今まで一度だって綺麗でモテた実感がない。素直にそうなんだ。ラッキーなんていえない。

だがそういうところも専務にはお見通しだった。

「すみません。まだ受け止められないんですけど」

専務はクスッと笑った。

「話が脱線したね」

「はい」

かなり脱線してる。お見合いとは関係ないかと……。

「本題に戻るけど、もしお見合い相手が君を気に入ったらどうする?」

専務は画像を指差した。
仮にそうだとしたら……ちょっと、遠慮したいかな。
専務は話を続ける。

「相手は君のお父さんの上司の息子。お父さんの立場を考えたら断れると思うか?」

正直そこまで考えてはいなかった。
仕方がないから会うだけあってこっちから断っちゃえばいい。ぐらいにしか思っていなかった。

「君が全く気に入らなくても相手が気に入ったら、相手はきっと立場を利用するかもしれない。部下であるお父さんは『娘が嫌だと言っているんでこの縁談はお断りします』というかもしれないし、いえないかもしれない」

私の家でいちばん強いのが母だ。父は亭主関白でもない。趣味もバラの花を育てること。
とても優しい父。
でも父の性格を考えると、今回の縁談はなんとなくその上司に押し切られた感が否めない。
となれば、もし気に入られたら……。
好きでもないのに無理やり交際し、あれよあれよと婚約?
最悪のシナリオが頭に浮かんでしまった。
< 36 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop