契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
可愛いと思っていた当時の彼女は健太郎の言葉を借りれば"学校一イケてる女子"。おしゃれな彼女の真似をする下級生もいるくらいだった。
セーラー服のスカーフの巻き方、スカートの丈、念入りに手入れされた髪に先生にバレないギリギリのラインの薄化粧。
それは女子だけではなく男子からも好感を持って受け止められていた。だから当然、孝也も彼女を"可愛い"と思っていたのに。
それにひきかえ、目の前の晴香はその正反対だった。
彼女と同じデザインであるはずのセーラー服はスカーフがきちんと巻かれ、スカートの丈は校則通り。艶々とした柔らかそうな黒い髪は、飾り気のない黒いゴムでポニーテールにしてあった。
ひとことで言うならば、"真面目"なその晴香の姿に、これがいいんだと孝也の中の何かが言った。
俺は、これがいい。
『孝也君は私に興味がないみたい』と、彼女が感じた理由を孝也はその時理解した。
新しい色のリップ、可愛い髪飾りを付けて見せる彼女に『可愛いね』なんて言いながら、どこかでこの飾り気のないひとつ歳上の少女を思い浮かべていたからだ。
俺は晴香が好きなんだ。
姉としてではなく、異性として。
だがその日から孝也にとって苦悶の日々が始まった。
姉のような存在の晴香によこしまな気持ちを抱いてしまったという罪悪感にも気持ち。もしも晴香にこの気持ちを知られてしまったら、もう今までのような仲ではいられなくなるだろうという恐怖。ふたつの思いが孝也を苦しめた。
だってどこからどうみても晴香は自分のことを"弟"としかみていないじゃないか。
当時の彼女とはそのあとすぐに別れたけれど、告白されること自体は珍しくはなかったから、好きになれそうな相手であれば孝也は積極的に付き合った。
晴香への想いは一時期の気の迷いだったと思いたくて。
だがその努力は、すべてが無駄だった。
晴香に対する想いは胸に閉じ込めようとすればするほど、孝也の中で特別な存在へとなっていった。どんな子と付き合っても、仲良くしていても、結局はいつも胸の中には晴香がいて、孝也の心を捕らえて離さなかったのだ。
そうして孝也は晴香への想いを抱いたまま、今日までの日々を過ごしてきた。
セーラー服のスカーフの巻き方、スカートの丈、念入りに手入れされた髪に先生にバレないギリギリのラインの薄化粧。
それは女子だけではなく男子からも好感を持って受け止められていた。だから当然、孝也も彼女を"可愛い"と思っていたのに。
それにひきかえ、目の前の晴香はその正反対だった。
彼女と同じデザインであるはずのセーラー服はスカーフがきちんと巻かれ、スカートの丈は校則通り。艶々とした柔らかそうな黒い髪は、飾り気のない黒いゴムでポニーテールにしてあった。
ひとことで言うならば、"真面目"なその晴香の姿に、これがいいんだと孝也の中の何かが言った。
俺は、これがいい。
『孝也君は私に興味がないみたい』と、彼女が感じた理由を孝也はその時理解した。
新しい色のリップ、可愛い髪飾りを付けて見せる彼女に『可愛いね』なんて言いながら、どこかでこの飾り気のないひとつ歳上の少女を思い浮かべていたからだ。
俺は晴香が好きなんだ。
姉としてではなく、異性として。
だがその日から孝也にとって苦悶の日々が始まった。
姉のような存在の晴香によこしまな気持ちを抱いてしまったという罪悪感にも気持ち。もしも晴香にこの気持ちを知られてしまったら、もう今までのような仲ではいられなくなるだろうという恐怖。ふたつの思いが孝也を苦しめた。
だってどこからどうみても晴香は自分のことを"弟"としかみていないじゃないか。
当時の彼女とはそのあとすぐに別れたけれど、告白されること自体は珍しくはなかったから、好きになれそうな相手であれば孝也は積極的に付き合った。
晴香への想いは一時期の気の迷いだったと思いたくて。
だがその努力は、すべてが無駄だった。
晴香に対する想いは胸に閉じ込めようとすればするほど、孝也の中で特別な存在へとなっていった。どんな子と付き合っても、仲良くしていても、結局はいつも胸の中には晴香がいて、孝也の心を捕らえて離さなかったのだ。
そうして孝也は晴香への想いを抱いたまま、今日までの日々を過ごしてきた。