ふたつの羽根
壊れ物みたいにあたしの体を抱く陸の胸に顔を埋め、ただあたしは泣き声を押し殺す。
陸の胸で泣くのは2回目だ。
ほんっと、あたしの性格は自分でも呆れるほど嫌で、泣いちゃダメな時には必ず溢れれるようにして涙はでてくる。
陸のほのかに香る香水があたしの心を引き付けるかのようにして気持ちを揺るがす。
このままじゃダメ…
もう好きと言う気持ちが溢れてしまう。
あたしは震える唇を精一杯、開く。
「だめ…。陸の胸なんて借りたら、これからもずっと求めてしまうから」
両手を陸の胸にもっていきトントンと叩く。
押しても押しても離れない分、陸はよりいっそう強くあたしの体を抱き締める。