ふたつの羽根

「あたしさ陸に振られてるんだよ。しかも高1の時からずっと…。もう何回、告ったのかもわかんないよ」 

「えっ…」


そう言って香さんは苦笑いをしながら、あたしに目を向け視線を逸らす。


「彩乃って人との関係も、勿論知ってる。でも陸は凄いよ、里奈ちゃん知った時からずっと一途だったから。あたしがその事知って“負けないよ”って思いながら告ったけど、やっぱ断られて…

だから正直、里奈ちゃん恨んだ事はいっぱいあった。里奈ちゃんさえ居なければって思った事もあった。でも結局は陸、本人が選ぶこと。それに里奈ちゃん居なくてもあたしは選ばれなかった。 

だから…

あたしじゃ駄目だったんだよ」 


香さん…陸の事、好きだったんだ。

もしかして今も?

でも、陸が校内一綺麗と言われている香さんを振るなんて… 


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