ふたつの羽根

ずっと、ここに座り込んで、どれくらいの時間が経ったんだろうか。

行き彷徨う人達を見ていると辺りは薄暗くなっていた。 


階段に密着させていたお尻を持ち上げ、気ダルイ身体と足を前に進ませた時、背後から聞きなれた声が飛んできた。


「あれ…先輩?里奈先輩?」 


“先輩”と言う言葉に慣れていないあたしは違和感を感じながらも首を傾げて後ろを振り向く。


「あっ、やっぱそうだ」


そう言いながら可愛らしい端正な顔でニッと口元の端を上げて微笑むのは…




「圭介くん…」


胸元まで開かれたシャツの間から小麦色の肌を覗かせているせいか、あたしよりもずっと年上に見えてしまう。 


「何してるんっすか?」


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