ふたつの羽根
放課後、先に帰る有亜を見送りあたしは純也の所に向かった。
教室を覗いて純也の席を見ると鞄もなければ純也の姿さえもなかった。
ドア付近に立っている女の子に「ねぇ純也は?」と尋ねる。
「あーついさっき出て行ったよ」
「ありがと」
すぐ言葉を返し、あたしは自分の教室に戻り鞄を抱えて階段を駆け下りた。
ってか、普通あたしの所に来るでしょ!
また新しい怒りを抱えながらあたしは靴に履きかえて校門を潜り抜ける。
校門を出て少し歩けば川原沿い。
その長い道のずっと先には純也の姿が目に入った。
あたしは純也の所まで必死に走りグッと純也の腕を握り締めた。
「あー里奈」