ふたつの羽根

振り向く純也に、あたしは息を切らせながら目線をあげる。


「純也さ、あたしの事、避けてない?」

「は?何で?」

「何でって…」


あたしは純也の手をスッと離し目線を川へと向ける。

ソヨソヨと気持ちよさそうに揺れる草とは裏腹に、あたしの心は苛立ちで揺れている。


「あのさ…あたしって純也の何?」

「彼女」


…彼女。

純也の口から出た言葉なのに全然嬉しくないのは何で? 

やっぱ、あたし純也の事どうでもよくなってる。

前までは好きでたまらなかったのに… 


「彼女だったらさ、あたしと帰ろってか何で先に帰っちゃうの?」

「一人がいいから」


< 28 / 275 >

この作品をシェア

pagetop