ふたつの羽根
振り向く純也に、あたしは息を切らせながら目線をあげる。
「純也さ、あたしの事、避けてない?」
「は?何で?」
「何でって…」
あたしは純也の手をスッと離し目線を川へと向ける。
ソヨソヨと気持ちよさそうに揺れる草とは裏腹に、あたしの心は苛立ちで揺れている。
「あのさ…あたしって純也の何?」
「彼女」
…彼女。
純也の口から出た言葉なのに全然嬉しくないのは何で?
やっぱ、あたし純也の事どうでもよくなってる。
前までは好きでたまらなかったのに…
「彼女だったらさ、あたしと帰ろってか何で先に帰っちゃうの?」
「一人がいいから」