ふたつの羽根
「あっ…里奈です」
「里奈ちゃん何か飲む?」
そういって体をのめり込むようにして端に立ててあるメニューを取り、あたしの顔の前で開ける。
あたしは一通りメニューを目にし一つの所に指差す。
「アイスティーで」
「オッケー。陸はコーヒーでいいよな」
「あぁ」
拓真はあたし達に背を向けて中に入って行く。
陸は目の前に広げてあるメニューを閉じ元の位置に戻した。
「あいつ俺のツレ。ここで一応バイト中」
「一応って何ですか?」
あたしは言ってすぐに笑った。
「ここアイツの親父の弟が経営してる店。だから一応バイトって感じ。ってかアイツ見た感じからしてクビっぽいだろ?」
陸は声に出して笑い新しいタバコをくわえ火を点ける。