ふたつの羽根

「お前さ、今日行く?」

「あー行く行く」

「俺、遅くなっから」


陸は何度か頷きコーヒーを口に含む。

それを確認した拓真はカウンターに足を進ませる。


“行く行く”

って何処だろう。

まぁ…あたしが深く聞く権利はないけど。



陸は短くなったタバコを磨り潰しながら「あのさ…」と口を開く。


「何か?」


あたしはストローを加えながら陸を見て首を傾げる。


「あの男にちゃんと言っとけよ」

「はっ?」

「はっ?じゃねーよ。中途半端な関係を作んなって事」 


何故会ったばかりの、あなたに言われなきゃいけない。 

そりゃ…

あの場面を見たら色々言いたい気持ちは分かるけど。

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