ふたつの羽根
その現場をみた瞬間、あたしの目は大きく限界ってほどに見開く。
壁に背を付けてダルそうに立って髪を乱暴に掻く姿。
下がり気味のズボンに片手をポケットの中に突っ込み、緩めに付けたネクタイ…
シャツのボタンが胸ぐらいまで外されていて、そこから見える小麦色をした肌。
その色と対照的に違う首からかけられたネックレス…
神藤先輩…
ううんそうじゃなくて陸だ!
立ち止まって何度も瞬きをするあたしに気づいたのか陸はこっちをみて軽く手をあげる。
ってか何でいるの?
大学生じゃないの?
呆然とするあたしに「ちょっと!」と有亜はあたしの腕を掴む。