ふたつの羽根
もう一度、掴まれた腕を無理矢理、離し「もう無理だから…」と呟き教室を飛び出した。
今さら何だよ…
平然な顔をして“疲れんだけど”とか言ってきたくせに…
潤む目を押さえ階段を一気に掛け降りる。
下駄箱まで辿り着き、靴に慌てて履き替え数段の階段をまた一気に掛け降りる。
「おっ…おいっ里奈」
背後からの声に肩がビクっと上がり、あたしの足はピタっと止まる。
近づいてくる足音が、あたしの横で止まり肩に軽く触れる。
「どーした?」
あたしの顔を覗き込むようにして目の前に陸の顔が現れる。
そうだった…
陸との約束、忘れていた。