ふたつの羽根
小さい時に親が離婚してママは忙しくて…
アイツにだって優しくされた事なんてなかったのに。
だから余計に陸の優しさは相当深くあたしの胸に突き刺さり涙が溢れるように出てくる。
今まで溜め込んできた涙がいっきに溢れだすと…
もう止まらない。
顔を沈めて目を擦るあたしに「なーくなって。充血する」と言って陸は床にタオルケットを何枚か重ねポンポンと叩く。
「里奈はここで寝ろ。俺はソファーっで寝っから…また落ちたら大変だろ?」
陸は立ち上がりソファーに移動する。
一向に動かないあたしの背後から陸のため息が降り注ぐ。
「寝ねーの?」