ふたつの羽根
しばらくして膝を抱えてすすり泣くあたしの前に陸がしゃがみ込む。
あたしの頭をポンと叩き「りーな…」と優しい声で微笑み、陸はその場で横になる。
「隣にいてやるから…」
床に敷き詰めたタオルケットの上をポンポンと叩く姿にあたしは頷き、そっと陸の隣に体を預ける。
どう言うつもりで陸は言ったのかは分からないし、その意味も分からないけど、今のあたしにとったらその優しさが無性に嬉しかった。
細身でガッチリした陸の胸に顔を沈め、そのあたしの頭を抱え込むようにして陸はそっと手を回す。
陸の体温を奪っていくかのように、あたしの体は温まる。
だけど…
それ以上にあたしの心のど真ん中が熱くなっていた。
ドキドキと乱れそうになる高鳴る鼓動を正したくて自分の胸にそっと手をあてて目を閉じた。