お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
「うわびっくりした! なんだ、永亮か。今日も一番乗りだね……永亮って、本当無駄に早起きだよね」
 ちょうど出社してきた永亮が、倉庫の入り口に突っ立っている。
 私がスマホを見て暗い倉庫でしかめっ面をしていたので、倉庫の扉を開けた永亮は一瞬ビクッと体を震わせていた。そんなに恐ろしい顔をしていただろうか。
 そんな彼に、私はスマホをずいっと見せつけていきなり問いかける。
「ねぇ、永亮。これ、どういう意味だと思う? 好きでもない人にこんなこと送る?」
「……誰だお前にこんなメッセージを送る物好きは」
「高臣さん」
 メッセージの送信者を答えると、永亮はピクッと片眉を動かした。
 食材を棚から撮ろうとしていた永亮だけれど、私からスマホを奪い取り、スイスイと画面をスクロールして、勝手にメッセージを読み始める。
 私は慌てて永亮からスマホを奪い返そうとしたが、当然腕を高く上にあげて読まれると届かない。
「ちょっと、永亮、返して!」
「ふーん、なるほど。お前、面白いことになってんじゃん。愛のない政略結婚のくせに」
「ちょっ、お父さんお母さんに聞こえるかもしれないから!」
 永亮はスマホの画面を見ながら、なぜか明らかに不機嫌なオーラを漂わせている。
 私は永亮の背中を結構な強さで叩いたが、びくともしない。
 筋肉ありすぎでしょ、こいつ……。
 なんて思っていると、ぼそっと永亮が何かをつぶやいた。
「……人が大事にしてるもん、いきなり横取りされたんだから、このくらいの嫌味は許されるよな」
「え? 何、今なんて……」
「凛子」
 突然、永亮に肩をグイッと抱き寄せられて、私は彼の体に思い切りよろけた。
 それと同時に、パシャッとカメラ音がして、永亮は器用にもその写真をすぐにどこかに送っている。
 信じたくないけれど、ま、まさか……。
「今、それ誰に送ったの……?」
「お前の婚約者。写真欲しがってたからな」
「な、なんでそんなことを! 意味が分からない!」
 怒り狂った私は、バシッとスマホを勢いよく奪い返して、永亮に怒声を浴びせる。
 しかし彼はひょうひょうとした表情で、まったく悪気のない様子だ。
 私は顔を青ざめさせながら、送信画面を見つめる。最悪なことにすでに既読のマークがついてしまっている。
 仕事中にこんなにふざけた写真を送られてきたら、高臣さんだって面白くないはずだ。
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