お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
「これで銀座にお店出す話無くなったら、どうするの……」
「大丈夫だ。この男は絶対お前が結婚しなくても、店は出すだろ」
「どういう意味? そんなわけないでしょ」
「お前さー」
 永亮は呆れた顔で自分の髪をかき上げると、盛大にため息をついた。
 私が怒るべき場面なのに、どうして今永亮の方が不機嫌なオーラをまき散らしまくっているのだ……。
 いつの間にやら壁に追いやられて、頭の上には永亮の逞しい腕が壁にぴったりとくっついている。
 永亮はいつもの倍は無愛想な表情で、私のことをじっと見下ろしている。
 昨日とデジャヴな状況に、私は彼の胸を手で押し返して「ちょっと」と強めの声を上げた。
 しかし、永亮の厚い胸板はやはりびくともしない。
「凛子。お前も少しは混乱すればいい」
「え?」
 ぎらりと永亮の目が鋭くなって、一瞬空気が重たく感じた。
 そして彼は次の瞬間、信じられない言葉を言い放った。
「俺はお前が好きだ」
「は……、何言って……」
 ーー何? あの幼いころからケンカばかりしていた永亮が、私のことを好き?
 予想もしていなかったできごとに、頭の中が一気に真っ白になってしまった。
 フリーズしている間に、永亮の顔がだんだんと近づいてきて、私は大声をあげて彼の唇を両手でふさぐ。
「ストップ! 私婚約者いる! 永亮ただの幼なじみ!」
「…………」
 情報を簡潔に伝えて正気に戻すために、私は重要な単語だけを並べて叫んだ。
 しかし、永亮は変わらず獣のような目で私を見ている。
 こんな永亮、寝起きで機嫌が悪いときしか見たことがない……。
 なんだ……? 糖分が足りなくて頭がおかしくなってしまったのか……?
 不審な目で永亮を見つめ返すと、彼は口をふさいでいる私の両手を剥がして、そのまま手首を片手で壁に押さえつけた。
 両手を真上に上げさせられている無防備な状態で、永亮に耳元で低い声で囁かれる。
「本気だ。十年以上前から」
 それだけ宣言すると、永亮はパッと私の手首を話して、すたすたと倉庫から出て行った。
 私は全身の力が抜けてしまい、へなへなとその場に座り込む。
 そして、両手で頭を抱え込んで、必死にさっきの状況を整理する。
 永亮が……十年以上前から……私のことが好き……。
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