お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
「凛子、こっちを見ろ」
「こ、これから頑張りますのでっ……」
「ダメだ。今、俺を見ろ」
 ぐいっと顎を強制的に上向かされ、私は彼の美しい顔と真正面で向き合う形になってしまった。
 横に自然に流した前髪……そこから見えるアーモンド型の綺麗な瞳に吸い寄せられて、立っていられなくなる。全身の血が顔に集まって熱くなっている気がする。
 三十三歳とは思えないきめ細かな肌も、すっと通った鼻筋も、形の良すぎる唇も……、直視できないほどに美しい。
「お前は今から俺のものになるんだ」
 まるで暗示をかけるかのように、彼は低い声で言い放った。
 そして、その直後に、獣のように激しいキスを降らせてきたのだ。
「んっ、高臣さんっ……」
 自分でも気づかないうちに服を脱がされていて、高臣さんの長い指が火照った体を撫でていく。
 パチンと下着のホックが外されると、私は羞恥心で逃げ出したい気持ちになった。
 見られたくなくて体をよじったけれど、そんなことを彼が許すはずがない。
 手首を押さえつける力を強められ、高臣さんはじっくりと私を見下ろしている。
 ……脱ぎ捨てられた上着、高臣さんの乱れた前髪、寝室に響く自分の吐息、開けっ放しの寝室のドアの向こうには、煌々と輝く夜景が見える。
 
 高臣さんは、緊張している私の左手を取って、薬指に輝く指輪にそっとキスをした。
 そして私は、溺れるような愛を、この日彼から受け取ったのだ。
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