お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
見るからにただの旅館ではなく、正面駐車場に停まっている車は高級車ばかり。雨が弱まっていたこともあって、私は思わず少しだけ窓を開けて、その様子を社内から眺める。
「はっ、ぼうっとしてる場合じゃない……!」
私は待たせてしまっているかもしれない高臣さんに、『今着きました』と取り急ぎメッセージを送った。そしてスマホをバッグにしまい、改めて旅館の絢爛豪華な佇まいに驚きの声をあげる。
「なんか、すごい格式高い感じなんですけど……」
「ひとまずこの辺に停めるか」
私の発言をスルーし、慣れた運転さばきで永亮がバックで駐車した。
車が静かに停まって、私はすぐに永亮にぺこっと頭を下げる。
「ありがとう! すっごく、助かりました……」
「よかったな。濡れた妖怪にならなくて」
「いや、ほんとに……」
ハハ、と笑いながら顔を上げると、永亮はなんだか真剣な顔をして私を見ていた。
ハンドルに片手を乗せたまま、私のことを黒い瞳でじっと見つめている。
私は思わず少しうしろに身を引いたが、永亮はゆっくりと口を開き、唐突な質問をしてきた。
「なあ、お前、高臣さんのこと、本気で好きなわけ」
「えっ、何いきなり」
「そりゃ気になるだろ。好きな奴がちゃんと幸せな結婚できてんのか」
好きな奴、なんてあまりにもサラッというもんだから、ドキッとしてしまった。
私はここで変に濁したりする方が厄介になると思って、「うん」と言って頷いた。
すると、永亮はなぜか意地悪そうに笑って、「ふぅん」と、私を試すような声を漏らす。
「よかったな。上辺だけの婚約にならなくて。これで玄さんも安心できる」
「うーん、まあ、そうなのかな……」
「俺はお前が幸せだったらそれでいいから」
……たしか電話口でも、永亮にそんなことを言われた。
あのときはまだパニック状態だったから、永亮のそんな言葉をちゃんと拾えていなかったけれど、今日は妙にそんな言葉が胸に引っかかる。
「永亮……」
フッた張本人に、どうしてそんなに優しい言葉をかけてくれるんだろう。
私だったら、こんなに自然にそんな言葉はかけられないだろう。
……そういえば、昔から永亮は、相手に罪悪感を抱かせてしまうようなことがあったときは、優しく突き放すような言い方をしたりすることがあった。
「はっ、ぼうっとしてる場合じゃない……!」
私は待たせてしまっているかもしれない高臣さんに、『今着きました』と取り急ぎメッセージを送った。そしてスマホをバッグにしまい、改めて旅館の絢爛豪華な佇まいに驚きの声をあげる。
「なんか、すごい格式高い感じなんですけど……」
「ひとまずこの辺に停めるか」
私の発言をスルーし、慣れた運転さばきで永亮がバックで駐車した。
車が静かに停まって、私はすぐに永亮にぺこっと頭を下げる。
「ありがとう! すっごく、助かりました……」
「よかったな。濡れた妖怪にならなくて」
「いや、ほんとに……」
ハハ、と笑いながら顔を上げると、永亮はなんだか真剣な顔をして私を見ていた。
ハンドルに片手を乗せたまま、私のことを黒い瞳でじっと見つめている。
私は思わず少しうしろに身を引いたが、永亮はゆっくりと口を開き、唐突な質問をしてきた。
「なあ、お前、高臣さんのこと、本気で好きなわけ」
「えっ、何いきなり」
「そりゃ気になるだろ。好きな奴がちゃんと幸せな結婚できてんのか」
好きな奴、なんてあまりにもサラッというもんだから、ドキッとしてしまった。
私はここで変に濁したりする方が厄介になると思って、「うん」と言って頷いた。
すると、永亮はなぜか意地悪そうに笑って、「ふぅん」と、私を試すような声を漏らす。
「よかったな。上辺だけの婚約にならなくて。これで玄さんも安心できる」
「うーん、まあ、そうなのかな……」
「俺はお前が幸せだったらそれでいいから」
……たしか電話口でも、永亮にそんなことを言われた。
あのときはまだパニック状態だったから、永亮のそんな言葉をちゃんと拾えていなかったけれど、今日は妙にそんな言葉が胸に引っかかる。
「永亮……」
フッた張本人に、どうしてそんなに優しい言葉をかけてくれるんだろう。
私だったら、こんなに自然にそんな言葉はかけられないだろう。
……そういえば、昔から永亮は、相手に罪悪感を抱かせてしまうようなことがあったときは、優しく突き放すような言い方をしたりすることがあった。