お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
「凛子が幼なじみに抱き締められているのを見たとき、頭の中が一瞬で沸騰した」
 予想外の言葉に驚き、私は思わず間抜けな声をあげてしまった。
 しかし、高臣さんは至って平然と、話を続ける。
「すぐにあの男を車から引きずり出して飛ばしてやりたい気持ちになった」
「と、飛ばすってどこへ……」
「でも、その怒りもすぐに治まった」
 高臣さんが、私の髪の毛の束を掴んで、まっすぐ目を見つめてくる。
 彫刻のように整った顔が、少しずつ優しくなっていく様子に、私は完全に見惚れてしまう。
「凛子の本当の気持ちが聞けたから」
「あ……」
「あの幼なじみには色々とかなりムカつくが、ひとまず全部今は置いておこう」
「あ、あの、高臣さん、だんだん体が傾いて……」
 重心がどんどん私の方に寄ってきて、ついにソファベッドに押し倒されてしまった。
 高臣さんは、ニヤッと少し意地悪く笑いながら、私の顔を覗き込んでいる。
 すぐ横には美しい庭が広がっているのに、こんな様子誰かに見られたら……なんて不安に思ったが、先ほどお部屋案内のときに聞かされた、「この庭はこの部屋の宿泊客だけのもの」という説明を思い出した。
 そのことにほっとしたのも束の間、高臣さんの唇が突然耳に触れたのだ。
「ひゃっ」
「凛子。もう一度ちゃんと聞かせてくれないか。聞き間違いだったらもう二度と立ち直れない」
 おそらく高臣さんは、私の告白をちゃんと聞かせてくれと、言っているんだろう。
 もちろん今日ちゃんと伝えるつもりだったのだから、心の準備はしていた。
 けれど、まさかこんな形で告白をすることになるなんて想像していなかったから、中々言葉が出てこない。
「き、聞き間違いだなんて、そんなわけ……」
「ん?」
 顔を熱くしながら高臣さんの言葉を否定すると、彼はさらに追い詰めるように聞き返す。
「た、高臣さんって意外と意地悪なとこありますね……」
「どこが? もっと凛子を甘やかしていいなら、早くそう言ってくれ」
「そうじゃなくてっ」
 私の気持ちなど分かり切っているはずなのに、そんなにきれいな顔を近づけられたら余計に答えづらい。
 ただでさえ、告白なんて人生で初めてだからドキドキしてるというのに、さらに緊張する要素を増やさないでほしい。耐えきれずに、私は思わず目を逸らす。
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