お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
 どれも気合を入れた案で、大手企業とのコラボで決まったノベルティグッズもぬかりなく準備が完了している。
 ――気づけば、高梨園二号店がオープンする日まで、あと一カ月となっていた。
 お店の準備は玄さん、凛子、玄さんの一番弟子である久遠(クドウ)さんと、うちの担当社員含め打ち合わせを重ね、方向性を具体的に固めていった。
「では続いて、高梨園二号店に関しまして、発表をお願い致します」
 高梨園の担当社員が、スクリーンに資料を映し出す。
「神楽坂で愛され続けている伝統的な和菓子屋、菓匠・高梨園が、この度銀座でオープンいたします。和菓子はうちの客層とも相性がよく、本店一店舗のみだったあの高梨園がうちにできるという噂が、すでにクチコミで広がっており、お客様の期待はかなりのものです。クチコミだけでも十分期待できますが、高梨園さんからのご提案で、銀座限定の新商品をご考案いただきました」
 画面が切り替わり、『銀座店限定品の発売』という大キャッチのしたに、試作品の写真が大きく張り付けられた資料が映し出される。
「和菓子のターゲット層は本来六十代中心ですが、SNSに強く感度の高い若者にも広めてもらうことを目的とし、新商品は高級フルーツをふんだんに使ったクリーム大福に決定しました」
 大福の写真を見た社員が、思わず小声で「美味しそう……」ともらしたのが聞こえた。
 高級フルーツをふんだんに使った大福は、見た目もカラフルで、とくに女性ウケのいい商品に仕上がった。
 ……この話が出たのは、凛子が旅行に帰ってきてすぐのこと。
 たくさん和菓子屋を歩き回ったけれど、凛子は最終的にかき氷屋からインスピレーションを得たという。
 自分で新商品をつくりたいという一心で、この二週間はずっと実家に帰っていた。
 今日までに完成させ、どうしても今日の会議で共有してほしいと、凛子は真剣だった。
 二週間会えない間は気が狂いそうだったが、それよりも凛子の目指すことを応援したい気持ちが強かったので、なんとか耐え抜くことができた。
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