俺様社長と溺愛婚前同居!?

 着替え終わり、小さな籠バッグを持つと、玄関のほうへ向かった。

「お待たせ」

 玄関ですでに準備を終えていた賢人さんは、車のキーを片手に私のことを待っていた。

 すらっとした長身だから、このシンプルな装いでも様になる。改めて素敵だなと胸を高鳴らせたところで、彼は手を差し出した。

「……手」

「ん?」

「手を繋ぐぞ」

 目の前にある大きな手。指先まですらっと長くて、男らしい手のひらが向けられて固まった。

「え……? あの……」

「俺に慣れろって言っただろ? 近くにいることに慣れるんだ」

「でも……っ、それは、さすがに恥ずかしい……」

「でもじゃない。ほら」

 ぐいっと引き寄せられ、私の手が賢人さんの手に包まれる。
 彼の傍に寄ると、シトラス系の爽やかな香りがして胸の鼓動が跳ね上がった。

 いい……香りがする。

 しかも顔を上げたら、賢人さんの男らしくて綺麗な顔。じっと見たらドキドキで胸が壊れてしまいそうだから、直視できない。

「結花、お前は俺の妻だ。それらしく振舞うように」

「がん、ばる……」

「じゃあ、行こうか」

 男の人の手って……こんなに大きくてゴツゴツしているんだ。ぎゅっと握られていると、安心するし頼もしい感じがする。なんだろう……守られているような。
< 112 / 177 >

この作品をシェア

pagetop