俺様社長と溺愛婚前同居!?

「でも、うちの社員だからな。結花が信頼してくれているのも分かるし、俺の教育が足りなかったんだろう。怖い思いをさせて申し訳ない」

「ううん、賢人さんは悪くない」

 彼の腕にぎゅっとしがみついたままいると、賢人さんは私の頭をそっと撫でてくれた。

「それよりも、俺のことを好きって言ってくれたな」

「そ、それは……」

 本気でそう思っているわけじゃないんだよ、と賢人さんに言おうと顔を上げると、今まで見たことのないような甘い顔で私を見下ろしていた。

「嬉しいよ、ありがとう」

 そ、そんな顔、ずるい。

 私に好きって言われて、すごく嬉しそうにするなんて……もう、私、どうしたらいいの。

 心臓がきゅううっと掴まれたみたいになって、賢人さんにあの場限りでそう言ったんだとは言えない。


「旦那のことを好きって言えるなんて、いい傾向だ。結花、もっと言ってみて」

「でも……っ、そんなの恥ずかしい」

「いいから」

 できない、と断っても全然許してもらえなくて、もう一度言って欲しいとお願いされる。
 腕から離れてしまおうとしたら、彼から逃げられないように腰に手を回されて抱き締められた。
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