俺様社長と溺愛婚前同居!?
＊＊＊

「おかえりなさい！」

　玄関を開けると結花の声がして、そのあと急いで玄関まで走ってくる。

　俺が帰ってきて嬉しいと顔に書いてあるような笑顔を振りまかれて、抱き締めたい衝動に駆られる。

「ただいま」

　抑えきれずに、目の前の結花をぎゅうっと抱き締める。

　俺の腕の中にすっぽりと埋まる結花は、恥ずかしそうにしながら背中に手を回してくる。
　その仕草も可愛くて、愛おしさが溢れて止まらない。

「先にお風呂だよね。沸かしておいたよ」

「ありがとう」

　最初はぎこちなかった生活も、少しずつ慣れてきた。彼女がいることが当たり前になってきて、仕事が終わればすぐに帰宅したいと思うようになった。

　もうそろそろ、いいだろうか。

　形式的な夫婦ということもあって、籍を入れるのを先延ばしにしていた。入籍するとは言っていたものの、やはり結花の気持ちを尊重したかった。

　結花が本当に俺と結婚してもいいと思うくらいまで、待とうと決めていたのだ。

　でも、そろそろいいかもしれない。

　同じ空間で生活することも、手を繋ぐことも、抱き締めることも、嫌がられているようには見えない。同じベッドで眠ることも日常になってきたくらいだ。
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