俺様社長と溺愛婚前同居!?
『あ、来たね。結花、ファイト~』
「ああ、もう。花蓮のバカーっ」
楽しそうに電話を切っていった花蓮に怒ったところで、逃げられそうにない。
母が玄関を開けて、誰かと話している声が聞こえる。そして一階から「結花、お客さんよ」と声をかけられてしまった。
今まで味わったことのない究極のピンチだけど、鴻上さんを無視するわけにいかない。
こうなったら、行くしかない。
覚悟を決めて、玄関に向かう。
部屋着のTシャツにショートパンツ、そして肩にタオルを巻いたまま、二階の自室から玄関に向かう。肩までの髪は濡れたまま、顔はどすっぴんだ。
もともと化粧っけもないし、そこまで変わらないとは思うものの、「誰?」と言われかねない無防備な姿。
こんな状態で会わないといけないことに心が折れそうだけど、取引先の社長さんだ。待たせるわけにはいかない。
廊下ですれ違う母は、「この素敵な人だれ?」と目を輝かせて私を見てくる。
何を期待しているんだか……。
何をどう考えても、親しい仲には見えないでしょ!