俺様社長と溺愛婚前同居!?
高梨結花は、一ヵ月前からうちの会社に出入りし始めた。
Tシャツにデニムというシンプルな格好で、黒い髪をひとつに纏めている。
百五十五センチくらいの身長で、高いものを取るときにはいつも一生懸命背伸びして「うーん、うーん」と唸っている。
華奢というよりは、むっちりした体型。あか抜けなさを感じさせるのは、ぷにぷにの頬と唇のせいで幼く見えるからだ。
「結花さんは、親しみやすくて可愛い女性なので、つい……」
「つい……じゃない。うちの男どもはあの子に構いすぎだ」
社員の既婚者以外の男は、なぜか隙があると高梨結花を構おうとする。
女性社員がひとりもいないから、こんなことになってしまったのかも知れないが、それにしても度が過ぎる。
彼女がキッチンにいる時間になると、社員たちはそわそわし始める。覗きに行こうか、行くまいか悩んでいるところなんて白々しい。
仕事に集中しろ、と言っても、高梨結花のことを気にしているのがバレバレだ。これでは悪影響なのではと懸念したが、ランチタイムを楽しみにして仕事の効率が上がっているのも事実。
男子校の中に来た唯一の女子生徒のようだ。
男は単純な生き物だと呆れる。