俺様社長と溺愛婚前同居!?

 やはり俺の思った通り、仕事を精一杯やっているだけで、特別な感情は持っていなさそうだ。

 害のある相手ではなさそうだと安心したところで、用は済ませた。早々に退散しようと話を切り替えることにした。


「じゃあ、俺はこれで」

「ありがとうございました」


 車に戻ってエンジンをつけたところで、はっと思い出す。


「しまった……」


 弁当のお礼を言うつもりだったのに、言いそびれてしまった。

 まあ、次に会ったときでいいかと思い直し、車を発進させた。



 それから高梨結花と俺の不思議な弁当生活が始まった。

 ランチタイムに食事をしない俺のために、彼女は俺だけの弁当を作りだした。そして中身はいつもハンバーグ。

 確かにハンバーグが好物だとは言ったが、まさか連日で出てくるとは思ってもみなかった。
 しかし飽きるどころか、色々な種類のハンバーグが出てくるので毎日の弁当が楽しみになってしまった。

 チーズインハンバーグ、ポテトサラダが中に入っているハンバーグ、カレーハンバーグに、和風。

 ソースも好きなものを選べるように、何種類か用意してある。


「すごいな」


 思わず声が漏れる。社員たち用の料理とは別にこの弁当も作って、メニューも考えて。
< 48 / 177 >

この作品をシェア

pagetop