【完】爽斗くんのいじわるなところ。


「……」


目をパチパチと瞬いた爽斗くんは、
ふ、っと気が抜けたように吹きだした。



「なにそれ。わけわかんない」



……笑ってくれた。
やっとだ。


もう、怒ってないのかな。
だとすれば、ずるいけど、今が謝りどき……。



「あの……爽斗くん、昨日はごめんね」


「なんで莉愛が謝んの?」


「え、だって。嫌な態度とちゃったから、ごめんね」


「それは、俺が妬かせたからなんだろ」


「え……まぁ、うん」



妬いたって言われると、
恥ずかしいけど。



あ、また爽斗くん、笑った。
呆れっぽく笑ってる。



「じゃあ俺のせいじゃん。悪かったし、しゃーなしなんか一個お願い聞いたげようか」



え……。
なんていった?


お願いを一個聞いてくれるって……うそでしょ……?



「ないならいいよ。あるなら5秒で言って。5・4・3・2・1」


「待って、ちょっと待って……!」


ただでさえトロイあたしが
5秒で何かお願いごとを言えるわけもなくて。



茶色の瞳があたしをとらえる。



「……ゼロ」




うそ……

間に合わなかった。


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