【完】爽斗くんのいじわるなところ。
後ろから、大きく息を吐く音が聞こえた。


爽斗くんがいつもと違う。なんとなく、見ちゃいけない気がする。


そう思って足を速めると。


「……待って」


ぐいっと、腕をひかれて。


「ひゃ、」



バランスを崩すがまま、
固くてひんやりとした胸板に、背中があたる。



爽斗くんの両腕は後ろからあたしを包んで。


「……なんでわかんないの」


抱きしめられながら、悔しそうな声が耳元に落ちてきて、ドキドキと心臓が暴れ始める。



「――……優心と行ってほしくないって言ってんの」


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