【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「なんかあったんでしょー?」


「ないってば……! そ、それより花火ってどこでやるの?」


「あっち」



花火の入った袋を握る片手が学校の方角を指した。



「……学校?」





そうしてたどり着いたのは高校の裏庭だ。


夜の学校って、なかなか雰囲気がある……。


「って、校庭に入って怒られないかな」


鍵のしまった門をまたいで侵入なんて、バレたらまずいんじゃ……。


「へーきだよ。俺がいるでしょ?」


そう言ってのける優心くんが、少し、爽斗くんと重なって見えた。


もちろん爽斗くんだったらこんな愛嬌ある笑みなんて見せないだろうけど。


「莉愛ちゃん、どーかした?」


「ううん。優心くんがこんな悪いことするなんて、ちょっと爽斗くんみたいだなって思って……」



「俺って、ずっと優等生側だったもんね」


ぽつりと声を漏らす、優心くんは、表情を陰らせて
黒い空の高いところを金色に灯す月を振り仰いだ。


……優心くん? 


「どうしたの?」





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