【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「ちょっと爽斗くん! どこが3点なのよ!? こんなにかわい、ムグッ」
仁胡ちゃんの唇を片手で覆った彼は、淡々と言う。
「仁胡ちゃん、人の話は最後まで聞いた方がいいよ」
ぱっと仁胡ちゃんから離れた爽斗くんは
あたしの耳もとで小さな声で続けた。
「……――――――」
聞こえてきた言葉に、どくりと、心臓が高鳴る。
「それって……」
爽斗くんと視線が絡まって、息をのんだ。
その視線がちらりと仁胡ちゃんを差して、それからあたしに戻ってくる。
「……あいつに言うなよ」
間違っても仁胡ちゃんに言うなと鋭い視線がそうあたしに告げ、コクコクと頷くまでが平常運転。
「だから、俯いて歩いてろ、根暗」
彼はそう吐き捨てて、自分の友達の輪へと入っていった。