【完】爽斗くんのいじわるなところ。

彼の一番苦手な人





ただでさえ、俺と莉愛は気まずいのに、莉愛の父親に莉愛んちのリビングに呼び出されて、俺らふたりは正座している。



「二人は付き合っているんですか?」


顔を険しくゆがめて、問いかけるおじさん。


「……ないです」


うつむく莉愛の隣で小さく返すと、


「じゃあ、どうしてあんなことをしたんでしょうね……」


顎の下で手を組み、見下ろす視線。


殺気さえ感じる静かな声に、俺は自動的に頭を下げる。



「すみません、俺が無理やりしました」


「無理やり……。本当にそうなんですか? 莉愛」



「え……と……。いや……」



嘘が下手な莉愛のリアクションを見れば、本当に俺が無理やりしたってちゃんと伝わる。



おじさんは、俺と莉愛のことを、本当によく見ていてくれた人だから。



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