【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「はぁ……っ」


息をみだして、恥ずかしそうにちょこんと隣に座る莉愛。



「は、はずかしかった……」


「そんだけで?」


「”そんだけ”って!」


「俺はもっとしたいけどねー」


「なにを?」


きょとんとした顔は本気で何もわかっていない。


俺はつい目を見開いたね。



「……まじか、お前」


「え?」


「まーいいや。俺が教えてあげればいい話だもんね」



にやりと口角を上げる俺を、わけわからなそうに見る莉愛の瞳が揺れる。



「……怯えんな、馬鹿」


こんな簡単にビビられているうちはまず手なんか出せないけど。


「あの……怯えてないよ。ドキドキしただけ……!」


「え?」


なんでもかんでも解ってるつもりだったけど、
おたがい知らないとこ、まだまだあるみたい。


なんか、ワクワクするよね。



肩下くらいまで伸びた髪をすくって、耳もとで囁く。



「これからは俺だけの莉愛の顔、もっと見せろよ」



彼氏って言うのは、ぞんぶんに独り占めしていいんでしょ?


ふと、その目を見る。



何怯えて……いや、ちがうんだっけ。



「……ドキドキしてんなよ」


移るだろ。

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