極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
『本当に、君には叶わない。………畔に好きだと言われたら安心してしまう。……楽しい話ではないし、君を傷つける事になるかもしれない。それでも、俺の話を聞いてくれる?』
『もちろんです』
リビングのソファに隣同士で座った。手話を始める。向かい合って座った方が手話が見やすいのだが、畔は彼の隣に居たかったのだ。きっと、彼も同じではないかと畔は思った。
『幼馴染みからは何か聞いた?』
『えっと……神水という名前が偽名だった事と、椿生が作曲の仕事をしている事。あと、「青の音色」を作ってくれた人だって事………』
『本当によく調べてるね。ほとんど知ってるんだね。………自分の口から話せなくて、ごめん』
椿生はそう言った後に、頭を下げて謝罪をした。そして、それが全て本当の事だと教えてくれた。
『君の幼馴染みと出会ったのはネットを通してだったよ。同じ名前で、ファッションとか好みが合って話すようになったんだ。俺が曲を作ってると話すと、海は「幼馴染みに曲を提供してくれないか」と提案したんだ。俺はプロでもないから始めは断ろうとした。けど、教えてもらったhotoRiという歌い手の動画を聞いて、やってみたいと思ったんだ。透き通って伸び伸びとした歌声がとても印象的でね。この人が自分の曲で歌ってくれるなんて……と、楽しみで仕方がなかった』
『気づかなくて、ごめんなさい』
『いいんだ。海に作曲した曲を渡してすぐに、俺はネットの世界を辞めたしね。忙しくなったし、何だか満足してしまったんだ。いい曲が出来たってね』
椿生はそういうと、にっこりと笑って『素敵な曲にしてくれて、ありがとう』と笑った。