極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
13話「偶然の音楽会」




   13話「偶然の演奏会」


 新曲のリリースが決まってから準備をすすめているが、最後の1曲がどうしても完成しなかった。何曲か作ったものの、自分の納得するものにはならなかった。
 気づくと夜中から始めた作業だったはずが、すでに陽は登りお昼前になっていた。

 畔はシャワーを浴びた後、気分転換をするために街へと出掛けた。

 畔は作業で籠りっきりになっていた体に太陽の光を浴びさせると、疲れて眠いはずなのに、元気になったように思え、足取りも軽くなった。
 畔は自分の思うがままに散歩を続けた。

 すると、気づかない内にある場所へと到着していた。高級料理店や宝石店などが並ぶベリーヒルズビレッチのタウン内だった。近代的なビルを見上げ、畔は自然とある建物へと視線を向ける。
 そこには真っ白で大きなビルがある。華やかではないけれど、どこか安心できる施設。畔と椿生が初めて出会った病院だ。
 思い出の場所が病院というのは不思議だけれど、畔にとっては大切な病院だ。
 そう思うと、自然と足が動いていた。

 大きなドアが自動で開き、建物に入ると少し柔らかな空気を感じた。畔はそんな雰囲気を心地いいと感じながらステージの方へと向かった。すると、そこには多くの人が集まりソファに座ったり、立ち止まったりして中央を向いていた。今日も何かの演奏をしているようだ。畔もホールに近づくとグランドピアノの前に座り、演奏をしている男性の後ろ姿が見えた。男性ピアニストは珍しくないが、畔はその後ろ姿を見た瞬間にハッとした。
 まさか………人違い?でも、見間違えるはずなどない。

 畔は早足でピアノを弾いている人物の顔が見える真横に移動をした。
 そして、その男性の横顔を見て、畔は胸を高鳴らせた。
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