トライアングル・ビーチ
10メートルほど歩いたところで、橘まゆきはわたしの腕を離した。
「市井さんさ」
秘密でも打ち明けるように顔を近づけてくる。これから海に入るというのに、彼女の髪からは大人っぽい香水のにおいがした。
「はい」
「その水着……、モバカリで買った?」
「へっ?」
不意を突かれて変な声が出る。
「モバカリで買ったんじゃない? その水着」
「え……そうだけど……」
ま、まさか――
「やだあ!」
まゆきは顔をのけぞらせて笑いだした。
「それ、そのビキニ、あたしの、あたしが出品したんだよ」
全身の血が凍り、直後に沸騰した。
「う、嘘……」
「まさか市井さんが買っちゃうなんて! そんで今日着てくるなんて! やだもう信じられなーい」
麦わらのかごタイプのバッグを砂浜に落として、まゆきは腹を抱えて爆笑している。
最悪。最悪。最悪。
消えてしまえるものなら、消えたかった。海の泡みたいに。
「市井さんさ」
秘密でも打ち明けるように顔を近づけてくる。これから海に入るというのに、彼女の髪からは大人っぽい香水のにおいがした。
「はい」
「その水着……、モバカリで買った?」
「へっ?」
不意を突かれて変な声が出る。
「モバカリで買ったんじゃない? その水着」
「え……そうだけど……」
ま、まさか――
「やだあ!」
まゆきは顔をのけぞらせて笑いだした。
「それ、そのビキニ、あたしの、あたしが出品したんだよ」
全身の血が凍り、直後に沸騰した。
「う、嘘……」
「まさか市井さんが買っちゃうなんて! そんで今日着てくるなんて! やだもう信じられなーい」
麦わらのかごタイプのバッグを砂浜に落として、まゆきは腹を抱えて爆笑している。
最悪。最悪。最悪。
消えてしまえるものなら、消えたかった。海の泡みたいに。