王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】



「今日は僕のプランで、本当にいいの?」


信号で車が止まったとき、社長は少し伸びた、ふわふわの髪を揺らして、こちらを見た。

ハンドルを優雅裁く長い指先に見惚れてた私は、はっと顎をあげる。


「はい。コンペのプレゼンも行き詰まっているので⋯⋯助かります」

「了解。なら君の身体に刺激を与えられるように、頑張るよ」

「―――」


なんか言い方がおかしいような⋯⋯。

ちらり、と見上げると、社長は悪戯に微笑んでいて「あ、脳だったね」なんて肩をあげて、お茶目にいう。


ま、また、からかって!!

いつもいつも翻弄して⋯⋯


『島田がくるまで⋯⋯たべさせて』


やばい⋯⋯変なこと思い出してきた。


ああぁ⋯⋯


だめだめっ!!


私は、頬の熱を隠すように、平然を装い「よろしくお願いします」と窓の外を見るふりをした。

口説くなんていいながら、いつも私を見て笑っちゃって⋯⋯自信に溢れてる社長が恨めしい。

クスクスっと微笑む気配がして、再び車が滑り出す。
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