王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】


車は都内の喧騒からどんどん遠のき、しばらく走らせると自然のあふれる郊外へと移動していた。

青々しい緑が眩しく感じる、整備された通り。

写真集なんかに掲載されていてもおかしくない、オシャレな空間だ。

そんな大通りを真っ直ぐ進むと、突き当りに城のような立派な門構えが姿を現し、さらに越え、深緑に囲まれるホテルのような豪邸の前へと到着した。

ロータリーに車を停めたところで、玄関口でこちらに一礼した人物を見て、私は驚いた。


「え?! 島田さん。何故こんなところに」


いつも通りの七三分けで、セルフレームの眼鏡をかけたブラックスーツの島田さん。

相変わらずスキを感じさせない完璧な佇まい。

それも今日は休日なのに。
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