王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
10章 ハジメテと眼鏡とあの日と
10章 ハジメテと眼鏡と記憶と






「⋯⋯サッパリした」


冷え切った身体が、ようやくシャワーで温まることができた。

ずぶ濡れだった私たちがタクシーに乗れるわけもなく、近くまできていた永斗さんの自宅に泊めてもらうことになったのだ。


成り行きとはいえ、想いを告げた直後にこんなことになるとは思わなかったけど


『⋯⋯離れたくないな。連れて帰ってもいい?』


『私も⋯⋯一緒にいたいです』



帰りたくなかった。

離れ難くて、二つ返事で来てしまった⋯⋯。


永斗さんは少し驚いてたけど、もう、私を抑えつける感情だってない。


全力で、恋していいんだよね⋯⋯?



「⋯⋯私にも『代わり』はいない」



脱衣室の大きな鏡に映る、お風呂上がりの自分と笑顔を交わした。


もう、邪魔する感情はない。


いや、全くないといえば嘘だけど『変わりたい』っていうこの想いがある今、大丈夫だと確信できる。


もう、なんの迷いもない。

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