【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
必死に脳内で打開策を見出していると
「――はい」
席を立って戻ってきた永斗さんは苦笑しながら、黒いハンドタオルを差し出す。
泣いてるようにでも、見えたかな?
疑問に思いつつ受け取ると、何かが挟まっているような手応え。
もしかして⋯⋯。
タオルをめくると、今まさに欲しかったメモ帳が顔を出す。
「――っ⋯⋯これ」
「ないと困るでしょ。君の商売道具みたいなものなのに」
平然と言い放った永斗さんは、目を丸くする私をポンポンと撫で、飲み終えたカップをトレーに乗せてその場を離れる。
感動のあまり声が出なかった。
持ってきてくれたんだ⋯⋯。
はがきサイズの、コーヒーがたっぷり含んだ、メモ帳。
こんなに汚れてるのに。
愛用してるのもちゃんと見てて。
だからうちで作業していいよ、なんて言ったんだ。
ギューと胸が切なくきしんだ私は、手にしていたものをテーブルにおいて、咄嗟にその後ろ姿を追いかけた。