【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
ズルズルと後退していると、
「真島さん、どうなさいましたか?」
背中にトンと温もりがぶつかった。
肩越しに振り返って、そこにいたのは、
「島田さん」
いつも通り無表情の島田さんが、ティーセットを片手に真っ青な私を見下ろしていた。
「どうなさいましたか? 中に入らないんですか?」
その心配そうな声に一瞬悩んだけど。
こんな状態で入ったら、来客中なのに泣きつきたくなってしまう。
「あ⋯⋯いえ、ちょっと急用を思い出したので、今日は帰ります」
「あの――⋯」
「すみませんが、このファイルとお菓子社長に渡しておいて下さい」
「真島さ――」
「失礼します!」
重たいファイルと本橋屋の袋をドアの前に立てかけて、足早にその場を立ち去った。