【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
『おかえり――』
来美の声だ。
誘われるように身をかがめると、素早く鼻の先を何かが過ぎ去り―⋯
『――っ?!』
バン!と音を立てて壁に手がついた。
あと少しタイミングがズレていたら、顔に当たっていたな⋯⋯。
『――そろそろチャイムが鳴るわね。それとさっき島田くんに頼んだ資料、早急に必要になったから、早く承認してこっちに回してくれる?』
まるで追い出すような言い方に不満を感じたが、もう少しすれば女子社員たちの群れに襲われるのは確かだ。
笑顔の松田さんに、愛想笑いを返した僕は、仕方なく社長室に戻ってきて
そして、さっきの業務連絡時に至る――⋯
会いたいのに顔も見れない。
授賞式のあとだという来美の言うことを、ちゃんと言うことを聞くべきなんだろうな。
駄々をこねたくなるが仕方ない。
授賞式のあとは、絶対に逃がさなければいいことだ。
そう心で強く決意した僕は、未消化の問題を早く解決したい思いを仕事へとぶつけた。