王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
14章 祝杯と誤解と二人のオモイと
14章 祝杯と誤解と二人のオモイと








「こんなとこにいたのかよ」


会場から少し離れた静かなバルコニー。

じめじめした風が頬を撫でるなか、ひとり佇んでいるところに現れたのは。


「園部か⋯⋯」


立ち入り禁止の案内があるところをくぐってきたのに、なんでここにいるのがわかったんだろう。

でも今はそんなことどうでもよくて、一度彼に視線を向けたあと、再び手すりにもたれて風景に目を移した。


「ここで涼んでるだけだから。心配しなくて大丈夫だよ」

「ふ――ん」


手すりにもたれて遠くを見つめる私の隣に、黙ってよりかる。


「⋯⋯戻りなよ。主役なんだから」

「別に授賞したからって主役な訳じゃねぇよ。お前だって、いるべきじゃねーの」



そう言われると、何も言えなくなる。



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