王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】

パァッ⋯⋯と、心が喜びに満たされる。


「そうですね。お仕事の関係もありますし。でもその前に、会長からもらった箱の中身が気になってて――」


「先にみたいんですが」と言う言葉は、ウエストに回っていた大きな手のひらが、お腹を怪しく撫で回すことで封じられてしまった。

指先に力が籠もっていて、

なんだかさっきまでの触れ方と明らかに違う⋯⋯。


な、なんかおかしい。


そして、背中から感じる永斗さんの温もりはいつの間にか、ガンガン熱くなっていて


あああ、あれ⋯⋯?


「⋯⋯え、永斗さん? 聞いてます?」

「う―ん⋯⋯いや聞こえない」


はい?


「やっぱり⋯⋯昨日途中でくるみ寝ちゃったから、まずはさ――」


不穏な言葉に焦って、ギギギっと振り向くとそこには、ギラついた瞳の優美な狼がいた。

ピッタリくっつくやけどしそうな身体。


「くるみのせいだし、いいよね?」


なんて、不敵に笑っている。


いやいや!!

ちょ、ちょっと待って⋯⋯!!

もう充分愛してもらいましたから――!!

お、起こさなきゃよかった―――!!




―――――――


< 425 / 489 >

この作品をシェア

pagetop