【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
「なんの話しですかぁ?」
声のした方を振り向くと、資料の束を手にした甘い砂糖菓子のような美女が後ろで立ち止まっていた。
彼女は4つ下の後輩、佐久間 美久(サクマ ミク)ちゃん。人形のように整った顔立ちと、長い縦ロール。鈴の鳴るような甘い声に、モデルのようなスタイルとセンスを持ち合わせた、社内のマドンナだ。
「美久ちゃんはコンペ出るの?去年出てたよね。」
「ふふ、私は今年はでないですぅ。だって、コンペやると遊ぶ時間なくて両立するの、大変ですもん。」
彼女は可愛らしく首を傾けてニッコリとした。
このコンペに参加するとなると、自宅での調査や資料作成は自然と増えるため、美久ちゃんの言う事は最もだ。
それも彼女のように、プライベートが充実していれば、なかなか時間を見つけるのは大変なはず。
「仕事を持ち帰るようなものだからね。」
私がそう言うと、山積みの資料に隠れた園部が「クッ」と小さく吹き出した。
「真島は、用事もねぇし、彼氏もいねぇし、地味女だから関係ねぇもんな」
確かに、いませんけども。
どうせなら、聞こえないところで言ってもらいたい。
口元に濃紺スーツの袖を当てて笑いを堪える園部に冷たい視線を送った。