王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
『金曜日の終業後、食事にいってほしい』
帰り際に、どうにか取り付けた約束。
彼女の耳元で囁いたら、頭から湯気を出してブンブン頷き『早く離れてくれ』と警戒している姿は、愛らしくて仕方なかった⋯⋯。
いきなり結婚を迫ってしまったが、三ヶ月を有意義に使わなくては。
どうにも、彼女を前にすると身体が動いてしまう。
ゆっくりと目を閉じて深呼吸をした。
次に会えるのは四日後。
「さて⋯⋯全力で前倒しするしかないな」
僕は、頭を切り替えて仕事に勤しんだ。
全く⋯⋯
帰宅途中に『社員証』を拾っただなんて、嘘もいいところだ。