王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
っていうか、どど、同期の彼?!
なんで園部が出てくるんだ。
「い、いいえ!」
ぶんぶん首を降って否定をあらわにすると、社長はパッと顔を上げて爽やかな笑顔を浮かべた。
「なら、良かった。ずっと出張で、連絡先も聞けてなかったから心配してたんだ」
その途端、彼から感じていた、艶や毒気がスッと身を潜めた。
まるで気のせいだったかのように。
なんだったの、今の空気は。
低くて艶のある声がこびりついてまだクラクラする。
でも、出張で忙しかったとか、連絡することとか
気にかけてくれていたんだ⋯⋯
ほんの少し感動に似たような気持ちを感じていると、社長は私を格子から開放して、胸ポケットから取り出したメモを一枚私に差し出す。