王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
脳内であわあわしていると、ドアがカタンと揺れて。
漆鷲社長はやたら笑顔を携えて、腕を折るとゆっくり顔を近づけてきた。
「⋯⋯もしかし、約束を忘れてた?」
近づく距離にドキンて胸が揺れつつ
事実に近いことを言い当てられた私は、サーッと青ざめ、全身にダラダラと冷や汗が流れる。
綺麗な笑顔の裏に、どこか危険なものを感じる。
なにより、こんな美貌か近くに来たら息もできない。
『本気にしていませんでした』
そんなこと言えるわけがない。
「そ、それは――」
「⋯⋯僕と約束してるのに同期の彼と行くつもりだったとか?」
耳元に近づいた、艶のある声。