友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
「今日、わかったら聞こうか」
「え?いいのか!?」
嬉しそうに声をあげる渉に近くにいる妊婦さんがくすくすと笑う。
「すみません」
近くにいた人に小さくなり頭を下げながらも、私は渉の赤ちゃんに対する想いの大きさにうれしかった。

今までは夫婦で妊婦検診に来ている家庭を見て、少しうらやましくも思っていた。

この子には、私がひとりで検診を受けているときに感じているような寂しさや何かが足りない感覚を味わせたくない・・・そう思っていた時を思い出す。

初めて病院に来たときは、本当に妊娠しているのだろうか。
もしも妊娠していたらどうしようかと不安で仕方なかった。

「玲奈」
「ん?」
突然隣から名前を呼ばれて、渉の方を見る。
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