友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
「今まで、一緒に来られなくてごめんな」
「え?」
「俺、初めてここに来るときに緊張したんだ。今も緊張してる。この想いを、玲奈は一人で感じて来たんだなって思ったら、すごい申し訳なくなった。」
渉は何も悪くない。
私が渉に何も言っていなかったんだから当然だ。

「うんん。」
首を横に振ると渉は私のお腹にそっと触れた。

「この子にも謝らないとな。ママと二人でここにいたんだから。どきどきしただろ」
そう言ってさする。

まだ胎動は感じない。

でも、この子もきっと今日は今までにない安心を感じているとわかる。

その時、私は診察室に入るように名前を呼ばれた。
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