先輩、後ろの2文字ください。
「……ちょっと寄りたいところがあるんです。ダメですか?」
「別に……。いい、けど……」
歯切れ悪くそう答えると、彼は思いのほか嬉しそうに微笑んだ。
その笑顔が、いつかの彼と重なる。
『夏帆ちゃん!』
無邪気に私を呼ぶちいさなキミ。
思い出したら、懐かしくて切ない気持ちになる。
だけど……。
あの頃の面影は、今も残っていると思うと、同時に嬉しくもなった。
「先輩、着きました」
目の前の扉が開き、彼に手を引かれる。
「行きますよ?」と微笑む姿はあざといけれど、愛しさが募る。
優しい声と手に導かれ、私は歩き出した。
見知らぬ街の風景に心を弾ませながら彼について行くと、百貨店の前でその足が止まった。