結婚から始めましょう。
「まあそうね。秋葉家の披露宴に、新婦が大きなお腹でっていうのはねぇ……言う人は何か言ってくるだろうし」

夫婦だから、子どもができることになんらおかしなことはない。
けれど、彼の家柄としてはあまり好ましくないと、「心苦しいけれど……」と前置きをした陽子から聞いている。

「じゃあ、もしかしてマリッジブルーかしら?式の準備で何かと大変だものね」

準備といっても、ほとんど私の預かり知らぬことになっている。私がするのなんて、自分の数少ない招待客の対応や、ドレスを選ぶことぐらいで、それ以外のことは秋葉家にお任せ状態だ。

でも勘違いしている華子に、わざわざ余計なことを言う必要ないと、曖昧にやり過ごしておいた。


最近の蓮は、決算期で何かと忙しいらしく、帰宅時間もこれまでよりも遅くなっている。
接する時間が短くなることに寂しさを覚えつつ、どこかホッとしている自分がいた。

本当はそんなふうに思いたくないのに、一度マイナス方面に傾き出した思考は、私の力では軌道修正できないようだ。








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